映画「友罪」考えさせられる。でもその答えは見つからない。

映画「友罪」考えさせられる。でもその答えは見つからない。

「心を許した友は、あの少年Aだった」という衝撃的なキャッチコピー。誰もが思い出すあの事件。あの時感じた恐怖や言い表し難い気持ちの悪さを一瞬にして思い出した。この映画は何を伝えたいのだろう……と興味を持った作品。
本作の原作は、「神戸連続児童殺傷事件」から着想を得た、薬丸岳による同名小説。単に事件のその後を連想させるのではなく、罪を犯した人間がどう生きていくのか、また、罪を犯した人間とどう向き合うのか、自分ならば……?、と問題を投げかけてくる人間ドラマ。

作品紹介

監督は、『ロクヨン』や『8年越しの花嫁 奇跡の実話』など人間ドラマを描くことに定評がある瀬々敬久監督。本作は、少年犯罪の加害者のその後を描くと共に、人は過去の罪や過ちと、どう向き合うべきかを問う作品。

キャスト・スタッフ

監督・脚本: 瀬々敬久
原作: 薬丸岳
出演者: 生田斗真、瑛太、佐藤浩市、夏帆、山本美月、富田靖子、奥野瑛太、飯田芳、小市慢太郎、
矢島健一、青木崇高 他

あらすじ

ジャーナリストの夢に破れた益田(生田斗真)は、町工場で見習いとして働き始める。同じ日に入社した鈴木(瑛太)は、無口で他人との交流を拒んでいたが、次第に打ち解けていく二人。そんな中、元恋人で雑誌記者の清見(山本美月)に頼まれ、17年前の連続殺傷事件の犯人について調べる益田。ネットで鈴木によく似た犯人の少年の写真を見つけ、鈴木が犯人ではないかと疑ぐるようになる。
そして、過去に息子が交通事故で人の命を奪ったため、一家離散し、日々贖罪に向き合うタクシー運転手の山内修司(佐藤浩市)や、AV出演を強いられた過去に苦しみ続ける藤沢美代子(夏帆)、鈴木の少年院時代の担当法務教官・白石(富田靖子)の家族問題が絡まり、それぞれの物語が進んでいくー。

Blu-ray & DVD  ※2018年11月2日発売開始

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独断と偏見の見どころ紹介

瑛太が気持ち悪くてすごくいい

元少年Aである鈴木を演じた瑛太さんの怪演が光っていました。

少しずつ仲間と打ち解けていく鈴木。理不尽な暴力にあってもやり返すこともなく、更生してやり直そうともがいているように見える。しかし、時折見せる表情が、何かを隠しているようで本当に気持ちが悪く怖い。過去に凶悪犯罪を犯した人に抱く疑念や恐怖心を煽っていく。そして、実際に、殴られてもニヤニヤしたり、自分の頭を石で殴ったりと狂気に満ちた行動を取る。一方で、益田や美代子との付き合いの中で見せる優しさや子供のような笑顔。もはや、鈴木という人物が悪人なのか何なのかわからない。

ただ、全体のストーリーの展開としては、富田靖子演じる少年院教官の家族の話よりも、鈴木と益田が心を許した友人になっていくところをもっと深く観たかったなとは思いました。

好きなセリフ

「生きてたんだ……」 (清見)

少年Aである鈴木の所在を知った、益田の元恋人の清見(山本美月)のこのセリフがとても印象的でした。清見は、過去に罪を犯していない、いわゆる「普通の人」として描かれていると思いますが、思わず呟くこの言葉が本質を突いていました。

「罪を犯した人は、幸せに生きていていいのか」

鈴木は、決して幸せに暮らしているわけではないですが、清見の言葉にそんな問いを投げ掛けられた気がします。

答えが見つからない。でも考えよう

もし自分が鈴木だったら? もし自分が益田だったら? もし山内のように自分の家族や友人が罪を犯したら? そして、もし自分の家族や友人が被害者だったら? どの登場人物に感情移入しても、とても苦しい。これからどうやって生きていくのか。「罪を憎み、人を憎まず」ってすごく綺麗ごとのような気もしてしまうし、正しい答えは見つからない。でも、「考える」ということは、とても大事なことではないでしょうか。映画の初めから最後まで、物凄く辛いし暗い。でも、そんな答えが出ない問いを「考えよう」と投げかけてくる作品です。