映画「楽園」あらすじ・感想・動画配信まとめ｜綾野剛・杉咲花に心えぐられる

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『悪人』『怒り』などベストセラー作家、吉田修一の最高傑作と言われる『犯罪小説集』を、『友罪』『６４ロクヨン』の瀬々敬久監督・脚本により映画化。

吉田修一と瀬々敬久の組み合わせは絶対に面白い映画になるだろうと期待していましたが、主要キャストの綾野剛さん、杉咲花さん、佐藤浩市さんが素晴らしくて、とても引き込まれる作品でした。

この記事では、映画「楽園」のあらすじと感想や見どころ、視聴できる動画配信サービスについてまとめます。

Contents

映画「楽園」あらすじ・感想
映画「楽園」を観られるおすすめ動画配信サービス
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映画「楽園」あらすじ・感想

映画「楽園」予告動画

映画「楽園」のスタッフ・キャスト

【監督・脚本】瀬々敬久
【出演】綾野剛(中村豪士)、杉咲花(湯川紡）、佐藤浩市(田中善次郎)、村上虹郎(野上広呂)、片岡礼子(黒塚久子)、黒沢あすか(中村洋子)、石橋静河(田中紀子)、根岸季衣(藤木朝子)、柄本明(藤木五郎)

映画「楽園」のあらすじ

ある地方都市。夏祭りの日、気の弱そうな青年、中村豪士（綾野剛）は、男に母親が恫喝され慌てて助けを求めた。仲裁に入ったのは藤木五郎（柄本明）。豪士を不憫に思い仕事を紹介する約束をする。しかし五郎の小学生の孫娘の愛華が行方不明になってしまう。豪士も村人たちと一緒に愛華の捜索に参加する。

しかし、愛華のランドセルが見つかっただけで、結局愛華の行方は分からなかった。

愛華の友人の紡は、いつものようにY字路で愛華と別れたが、その後愛華の行方が分からなくなったため、紡は罪の意識に苛まれる。

12年後。紡は今も愛華の事件に罪悪感を抱えながら生きていた。そんな紡と豪士が出逢い、紡は豪士の優しさに触れて心を開いていく。

しかし、12年前と同じようにY字路で少女が失踪する事件が起きる。住民達の不確かな証言によって豪士は容疑者として執拗に追いかけられてしまう。

豪士はそば屋に逃げ込むが、興奮して集まってきた村人たちの目の前で、追い詰められた豪士はガソリンを頭から被り自分で火をつけてしまうー。

その様子を目撃していた田中善次郎（佐藤浩市）は、養蜂を営み静かに暮らしていた。
しかし、養蜂での町おこしの計画で村人達といさかいを起こしてしまい、孤立していく。

村八分にされ、孤独な毎日を送る善次郎は、裏山に植えた木の苗の根本に亡き妻の遺骨を埋め、家の周りには妻の服を着せたマネキンを並べる。

ある日、その裏山に植えた苗を掘り起そうとする村人たちに正気を失った善次郎は、村人たちを次々に刺し殺して、自らも斧で自分の腹を突き刺す……。

せめて紡は幸せに

Y字路から起こった二つの事件によって変わってしまった登場人物たちの運命。犯してしまった罪、疎外感、孤独、疑い、罪悪感……、登場人物達の様々な気持ちが痛くて辛い……。

差別や偏見から犯人とされていく豪士、ほんの小さな行き違いから疎外されていく善次郎。彼らをそこまで追い詰めてしまったものは何なのか……、考えさせられる作品です。

舞台は地方の田舎街ですが、何処でも起こり得る事件だったり、人が陥る孤独だったりを感じました。

紡は最後まで豪士が犯人ではないと信じていました。それが一筋の希望を示しているようなラストで、豪士や善次郎は、決して幸せな結末ではなかったので、せめて紡だけは幸せになって欲しいなあ……と思います。

鑑賞後しばらくはその余韻を引きずってしまう作品でした。

綾野剛・杉咲花・佐藤浩市に心がえぐられる

綾野剛さん、杉咲花さん、佐藤浩市さんが主人公の三人を演じられていますが、三人の演技が素晴らしので物語や自分に惹き込まれていきます。

綾野剛さん演じる豪士は、小さな声でぼそぼそと話し、内股でよろよろと歩き、ヨロッと簡単に押し飛ばされる。豪士を取り巻く空気も孤独感や喪失感をまとっているかのようでした。人を殺しまくっていた「亜人」の佐藤（めっちゃ腹筋われてましたよね？）や、明るくて喧嘩しまくる「新宿スワン」の龍彦の面影なんてイチミリもありません。

紡を演じた杉咲花さんは作品の中では殆ど笑いません。何を見て何を話してもずっと「罪悪感」に苛まれていて、忘れていないのだということが痛いほど伝わってきました。ラストで看板を川に投げるシーンは、それでも強く生きようとする紡の意志を感じさせ希望が見える印象的なシーンでした。

どんどん壊れていく善次郎役の佐藤浩市さん。土まで食べてしまうという正気を失った善次郎の姿に、これからどうなって行くのだろうと不安とドキドキが高まりました。