映画「信長協奏曲」ドラマ版を観ていなくても、歴史に興味が無くても愉しめる、新感覚時代劇

映画「信長協奏曲」ドラマ版を観ていなくても、歴史に興味が無くても愉しめる、新感覚時代劇

作品情報

原作は、石井あゆみによる『ゲッサン』(小学館)創刊号(2009年)から連載中の同名の人気コミック。2014年に、フジテレビ系の「月9」枠で実写ドラマ化され、映画はその続編として制作された。

あらすじ

戦国時代にタイムスリップした歴史が苦手な高校生サブロー(小栗旬)。そこで出逢った織田信長(小栗旬の二役)は、自分と同じ顔をしていた。病弱な自分の代わりの信長になってくれと頼まれたサブロー。始めは戸惑いい、また度々やってくる生死にかかわる出来事にたじろぐが、図らずも史実通り天下統一を目指すようになる。そしてサブローは、隣国大名を打ち破り、楽市楽座や産業振興、兵農分離などを推し進め、安土城を築くまでに至る。妻の帰蝶(柴咲コウ)からも慕われ、家臣からも信頼を得ていくサブロー。そんなサブローに嫉妬する、本物の織田信長(明智光秀と名乗る)。その陰で、信長への復讐を果たそうと暗躍する羽柴秀吉(山田孝之)。歴史に疎いサブローは、信長が本能寺で暗殺されたことも知らず、本能寺で帰蝶と結婚式をあげようとする―。

スタッフ・キャスト

監督:松山博昭
原作:石井あゆみ
脚本:西田征史、岡田道尚、宇山佳佑
キャスト:小栗旬、柴咲コウ、向井理、山田孝之、藤ヶ谷太輔、水原希子、濱田岳、古田新太、高嶋政宏、でんでん、勝矢蜂、阪田マサノブ、阿部進之介、北村匠海

独断と偏見の見どころ

歴史に詳しくなくても楽しめる

現代の高校生が戦国時代にタイムスリップして信長と入れ替わるという設定が、そもそもとても面白い本作。主人公サブローは現代の言葉を話すし、さらに彼は歴史にも疎い。そのため、歴史に詳しくなくても、「時代劇」と構えることなく、歴史上の事件や出来事をサブローが直面する劇中の出来事として理解していけます。一方、織田信長、羽柴秀吉、明智光秀、徳川家康、斎藤道三、柴田勝家……、名だたる戦国時代の武将たちも登場。そして、武将たちは史実とは少し異なるキャラクターを持ち合わせていて、歴史に詳しい人なら、史実の武将のイメージと登場するキャラのギャップも楽しめるのではないでしょうか。

本能寺の変とは?

1582年、京都本能寺に滞在していた織田信長を明智光秀が謀反を起こして襲撃した事件。 信長は、寺に火を放ち自害して果てたと言われています。信長を描くストーリーにおいて、欠かせないクライマックスシーンであり、本作「信長協奏曲」にも、もちろん登場します。小栗さんはインタビューで、本物の火でセットを全て燃やし、最終的には消火活動までやるという撮影で、部屋の中のシーンの撮影の時は、火もすごかったが、煙もすごく、目を開けているのも大変だったと語っています。そんな本物の火の中で撮影されたシーンは、ストーリーとしても大事な部分で、とても見ごたえのあるシーンになっています。

現代の高校生であるサブローの若者らしい軽さと戦国武将である信長の威厳

小栗旬さんが高校生役って、いささか無理があるんじゃないか、なんて思ってませんでしたか? 私は思ってました(ごめんなさい)。 確かに、制服姿で学校に通って、となると違和感がありますが、本作では舞台は戦国時代。そんな違和感は全く感じることなく物語に入り込めます。太陽のように明るく優しい、人を引きつける現代のサブロー。そして、影のある光秀(本物の信長)。小栗さんが見事に二人を演じ分けていました。また、光秀は顔を隠していることも多く、目しか見えないシーンもあります。アップになった小栗さんの目の演技が気持ちを表していてよかったです。本当に高校生くらいの俳優さんでは、サブローは演じられても、稀代の戦国武将である信長役は難しいように思いました。そして、当初ただの軽い若者だったサブローが、身代わりとはいえ責任感のある武将として成長していく姿も描かれます。

ダークな山田孝之が最高

世界の中心で愛を叫び、冷酷な取り立てを行い、シュールなギャクを飛ばす勇者になり……。役に憑依する「カメレオン俳優」と言われる山田孝之さん。本作では、信長に復讐を企てるヒール役の羽柴秀吉を演じています。周囲に見せる明るい笑顔と、織田家の滅亡と天下統一の機会を虎視眈々と狙う裏の顔。そのダークな方の表情が最高で、物語をさらに盛り上げます。

時代劇というファンタジーを楽しんで

突っこみたいところはあります。いくら歴史に疎いからって、織田信長や本能寺の変くらいは聞いたことがあるだろう、とか、携帯の充電はどうしたんだ、とか、ウェディングケーキの材料はどこで手にいれて、どうやって焼いたの?とか、いつの間にサブローは、あんなに敵をばっさばっさとなぎ倒せる剣の達人になったんだ?とか……。「時代劇はファンタジー」と語っていた小栗さん。そもそも、タイムスリップしたら、歴史上の人物が自分と同じ顔をしていたということだけでファンタジーの世界なわけで、そんな細かい突っこみは忘れましょう。過去の歴史上の人物には会えないので、空想の物語の世界を楽しみたい。

ちなみに、最後に大阪でと捕えらえた「カッパ」と呼ばれる可笑しな外国人が出てきます。その人の名前が、歴史好きの方なら、あーとなる名前です。